Murayama Lab
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Ongoing Research Projects

生体生理工学研究室では主に下記の研究テーマに取り組んでいます。クリックすると詳細項目へジャンプします。
  • 卵子の品質評価
  • マイクロ流路を用いた受精卵培養
  • 母胎温変化を模倣する受精卵培養
  • 基礎体温の時系列変動データ解析と女性の生涯健康管理への活用
  • ウェアラブルデバイスによる常時ヘルスデータ収集が及ぼす心理的影響
  • マイクロ流路振動子を用いた人工知能の開発および生物情報処理

卵子の品質評価

ウシやブタ等の家畜繁殖やヒト生殖補助医療(Assisted Reproductive Technology:ART)において、体外受精によって得られる複数の受精卵から“いちばん元気な卵(優良胚)”を一つだけ選択する技術の開発が求められています。特にヒトARTにおいては、母子共にリスクの大きい多胎妊娠を防ぐため、優良胚を一つだけ選択し移植すべきとの会告(日本産科婦人科学会2010)が発表されるなど、受精卵の定量的な品質診断は重要な課題とされています。この、優良胚を一つだけ選択し移植する技術のことを、専門的にはElective Single Embryo Transferの頭文字を取りeSETと呼びます。
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受精を待つヒトの成熟卵子。 出典: Atlas of Human Embryology (http://atlas.eshre.eu/)
細胞の中の生命現象は解明されていないことの方が多く*1)、実は、上図の卵子の写真を見ただけで「生きているか、死んでいるか」を判断することすら現在では非常に難しい問題です。では、どのようにすれば受精卵の健康状態を調べることができるでしょうか?
経験的によく知られている方法は、卵子の形態から品質を判断する方法*2)です。例えば、より大きく均質な卵子の方が発育率が高いという判断基準です。しかしながら、似通った形態を示す卵子に優劣をつけることは難しく、観察者によって判断が異なるという問題も起こります。近年になり、卵子の酸素消費量を測定する方法や、タイムラプス動画と人工知能を組み合わせて分類する方法を用いてより客観的・定量的に卵子品質を数値化しようとう研究が進み、卵子の品質診断が注目されるようになってきました。
このような背景のなか、生体生理工学研究室では卵子透明帯(ZP)の弾性率を世界で初めて測定*3)し、受精前後にZP弾性率がダイナミックに軟硬化している現象を明らかにして*4)、ZP弾性率から受精卵品質を定量的に評価する手法を提案してきました。また、ZP弾性率変化が “ZPを構成する糖タンパク質の切断と構造変化”に起因することに着目し、ZPの構造変化を複屈折の変化として測定することで卵子品質を非侵襲に評価する方法について研究を進めています*5)。
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マイクロ触覚センサを用いて卵子透明帯(ZP)の弾性率を測定している様子
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成熟・受精・初期発生の過程でZP弾性率が変化する様子から卵子品質を評価できる
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卵子透明帯の複屈折率イメージング
​卵子透明帯の弾性率を測定する際には、微弱に超音波振動するガラス針の先端を卵子に優しく接触させます。振動は非常に小さく、例えると肌にそよ風が当たる程度ですが、測定が卵子の成長に対して全く負の影響を及ぼすことが無いことは遺伝学的、行動学的、細胞生物学的観点から確認しています。その上で、2005年〜2007年には日本産科婦人科学会の臨床研究承認、倫理委員会の承認を得て、医療法人慈敬会・乾マタニティクリニックと受精卵の選択的単一胚移植(eSET)に関する共同研究を実施しました。透明帯弾性率を指標としてeSETを行った場合にも、従来法で選び二胚移植DETした場合と有意差の無い妊娠率が得られ(eSET 33.3%,、DET30.8%)、元気な受精卵を選択できていることが確認されました。本測定法は海外のヒト生殖補助医療クリニックからも注目を受けており、さらに臨床に適した測定方法の開発に向けて研究開発を続けています。
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ヒト受精卵の弾性率測定
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eSETによる健児誕生
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海外のヒトARTクリニックとの共同研究

*1) 「神秘的にさえ感じられる生物と非生物の違いを生み出しているは、生物のもつたった1つの性質 ー 常に乱雑さを増す宇宙の中で秩序を生み出し、維持できる能力である。」Molecular biology of THE CELL 細胞の分子生物学 第6版より引用 …この細胞の持つ能力の詳細がほとんど未解明なのです。
*2) Gardner分類、Veeck分類など
*3) Y. Murayama et al., "Micro-mechanical sensing platform for the characterization of the elastic properties of the ovum via uniaxial measurment." Journal of Biomechanics, vol.37, no.1, pp.67-72, 2004
*4) Y. Murayama et al., "Mouse Zona Pellucida Dynamically Changes its Elasticity during Oocyte Maturation, Fertilization and Early Embryo Development." Human Cell, Vol.19, no.4, pp.119-125, 2004
Y. Murayama et al., "Elasticity Measurement of Zona Pellucida Using a Micro Tactile Sensor to Evaluate Embryo Quality." Journal of Mammalian Ova Research, vol.25, no.1, pp.8-16, 2008
*5) 科研費基盤(C)「透明帯(ZP)複屈折の定量イメージングによる未受精卵の品質診断」研究代表者:村山嘉延、研究期間2018-2021

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マイクロ流路を用いた受精卵培養

ヒトを含むほ乳類の受精卵培養では主に①温度、②ガス組成、③培養液の3項目が受精卵の成長を左右すると考えられてきました。このうち、①温度(37℃一定の静置)および②ガス組成(二酸化炭素濃度を5%一定)に関しては、世界的に全てのヒト生殖補助医療ならびに家畜繁殖の施設において、同じ培養環境で受精卵の培養が行われています。すなわち、培養環境の変化によるストレスは最小限である方が良いとされていますが、それでもなお,生体内(in vivo)における受精卵の発育に比べると大きく劣るのが現状です。
最近になり、受精卵培養に卵管内の物理的刺激環境を再現させる方法が試みられ、マイクロ流路を用いて培養液を揺らす方法*1)、卵細胞傾斜培養により卵管内の受精卵移動速度により受けるシェア−ストレスを再現する*2)ことで発育度(胚盤胞到達率など)が向上することが分かりました。すなわち「培養環境の変化によるストレスは最小限である方が良い」というこれまでの考え方から、「心地よい刺激は受精卵の発育を促す」という新しい発想による受精卵培養が注目を浴びています。
これに加えて、私達の最近の研究により、受精卵の弾性率測定中にエバネッセント超音波振動(肌にそよ風が当たる程度の極微小の刺激)による刺激が加わることにより、受精卵の発育が促されることが分かりました*3)。母親の卵管内や子宮内で受精卵に加わる刺激を再現することにより、受精卵がもっと元気になるかもしれません。

*1) Heo et al., "Dynamic microfunnel culture enhances mouse embryo development and pregnancy rates", Human Reproduction, Vol.25, No.3, pp.613-622, 2010など
*2) Matsuura et al., "Improved development of mouse and human embryos using a tilting embryo culture system.", Reprod Biomed Online 2010; 20:358–364. など
*3) Murayama "The Potential Adverse and Enhancement Effect of Evanescent Ultrasound on Embryonic Development", 2018 BMES annual meetings
** 総説は例えばSmith and Takayama, "Application of microfluidic technologies to human assisted reproduction.", Molecular Human Reproduction, Vol.23, No.4 pp. 257–268, 2017 に詳しい

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母胎温変化を模倣する受精卵培養法

受精した卵子は母胎(卵管から子宮にかけて)で成長します。一方でヒト生殖補助医療や家畜繁殖では、卵子は受精後の数日間は体外で培養されて母胎に移植されます。体外培養の温度環境は世界的に等しく37℃一定の静置であり、培養環境の変化によるストレスは最小限である方が良いとされています。しかし、それでもなお母胎(in vivo)における受精卵の発育に比べると、体外培養では受精卵の成長が遅れるのが問題とされています。
本研究では“体外培養(培養温度は37℃一定)した受精卵の発育度はどうしてin vivoに比べて劣るのか”という問いに対し、“受精卵本来の培養環境である変化する母胎温は受精卵の発育に最も適するはずはないか”という仮説を立てて研究を進めています。母胎温変化を模倣する培養器を開発してマウス受精卵を培養することにより、胚盤胞到達度,内部細胞塊細胞数などを比較して、受精卵が最も心地良いと感じ発育が促される温度変化のパターンを調べています。
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基礎体温の時系列変動データ解析と女性の生涯健康管理への活用

執筆中
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ウェアラブルデバイスによる常時ヘルスデータ収集が及ぼす心理的影響

執筆中
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マイクロ流路振動子を用いた生物情報処理および知能の発現

執筆中
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Past Research Project

マイクロ触覚センサの開発

執筆中
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マイクロ弾性率分布測定

執筆中
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直感的な顕微鏡操作システム

執筆中
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    BPELAB
    BPELAB (Bio-physiological Engineering Laboratory)
    Associate Professor - Yoshinobu Murayama
    Department of Electrical and Electronics Engineering
    College of Engineering, Nihon University
    村山嘉延/ 生体生理工学研究室/​日本大学工学部
    Copyright © 2019
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